レビュー 小幡 和輝『ゲームは人生の役に立つ』ゲームから何を学ぶ?

漫画・書籍

 

 

「小幡 和輝」氏の著書『ゲームは人生の役に立つ ~生かすも殺すもあなた次第~』を読みました。サブタイトルにあるように、ゲームを人生に役立てることができるかどうかはあなた次第だと私も思います。

 

スポンサーリンク

『ゲームは人生の役に立つ』著者紹介

本書を書いた、小幡 和輝氏は『学校は行かなくてもいい』などで知られる方です。本を開いてすぐに自身の経歴について触れていますが、小学校2年生から中学3年生まで学校に行っていない。つまり、約十年間不登校だった方の書籍です。

しかしながら、学校に行かずに家でゲームしていた経験を人生に役立て、高校3年生のときに会社を起業。
その後内閣府の認定を受け地域活性化の専門家として活躍しているそうです。

 

このような経歴を持ちながらも、会社の社長になり内閣府から認められたのは「ゲームから様々なことを学んだから」であるとしています。

そういった経験から「ゲームは人生の役に立つはず!」と考え、様々な方と意見交換を行っているのが本作。様々な分野で活躍する著名人との対談をまとめた内容が中心となっています。

脳科学者の方や、教育関係の方、カードゲームデザイナーの方などなど対話をしています。

ゲームは「コミュニケーションツール」であり「学習ツール」である

この本全体を通して貫かれているのが、「世間ではチェスや囲碁、将棋はいいものとされているのに、なぜテレビゲームはだめなものとして扱われるのか」という視点。

 

また、ゲームは「コミュニケーションツール」であり、ルールから攻略法を学ぶ「学習ツール」であるとも主張しています。

世代によるところがあるとは思いますが、ゲームは「コミュニケーションツールである」ことに実感がわく方は多いはず。

 

例えば、私のような平成初期世代の方なら小学生時代のあたりでしょうか。
ニンテンドー64のコントローラーを持ち寄って友達の家に集まり、「マリオカート64」や「大乱闘スマッシュブラザーズ」を遊んだ経験がある方も一定数いるはずです。

「マリオパーティ」ではあのコントローラの「3Dスティック」をいかに早く回すか、手の皮を擦りむきながら色々な方法を試してた方、多いんじゃないでしょうか。
(3Dスティック…今でいうアナログスティックのはしりですね)

こだわりその2 3Dスティックへのこだわり

 

中学生~高校生ぐらいの頃はPS2に移植されたアーケードの対戦ゲーム「機動戦士ガンダムSEED連合vs.Z.A.F.T」「GUILTY GEAR XX #RELOAD」「MELTY BLOOD Act Cadenza」あたりを遊んだ方、兄弟が遊んでたのを見た…という方もいるでしょう。

何人かで集まり、それぞれ自分のPSPで「モンスターハンターポータブル2ndG」をプレイしていた思い出がある人も相当数いるはず。

もちろん、中にはオンラインゲームのMMORPG……「ラグナロクオンライン」「FF11」「メイプルストーリー」や、オンラインFPS「サドンアタック」「Counter Strike」にガッツリハマってた!という人もいると思います。

MHP 2nd G 店頭PV

こういった夢中になるゲームに出会えた原体験を持つ人であれば、ゲームはコミュニケーションツールと言われた時しっくりくるのではないでしょうか。

ゲームに得意不得意はどうしてもあるもので、その場にいる人たちが楽しめるように、ローカルルールを作って遊んでいた経験、ありませんか?

もちろん集まってプレイするゲームでなくとも、話題作が出たときに「どこまで進んだ?」「○○捕まえた?」「○○狩れないんだよね」「あの○○の裏技が…」
なんて会話を学校でしていた人もいると思います。

こういった人との関わりや対話を作ることにつながるという点で、「ゲームはコミュニケーションツールである」と私も思います。

 

しかし「学習ツール」という側面がある……という事については全面的肯定をすることができません。

 

ゲームは学習のきっかけになる

本書での「ゲーム=学習ツール」という考えは、「敵が倒せない→トライアンドエラー、試行錯誤→倒せるようになる」というPDCAサイクルなどを学べることが根拠となっています。

トライアンドエラーや試行錯誤の仕方はゲームによって異なりますが、例えば《モンスターハンターシリーズ》であれば、「閃光玉」が有効なモンスターか実際に試してみる、装備していく武器を剣やハンマーといった近距離武器ではなくボウガンや弓などの遠距離武器にしてみる。

このモンスターの攻撃は炎属性であるなら、炎属性耐性が高い防具の素材になる○○の鱗が必要だから、まずは○○を倒して素材を集めよう…
などなど、様々なアプローチの方法がありますよね。

そういった方法を探し実践することがトライアンドエラーを学ぶことにつながる、だから攻略サイトなどを見ずにプレイするべきである……という内容が書かれています。

 

しかし、私からすればネット上から攻略情報を集めるというのは”アリ”だと思います。

これはこれで、困難なことや自分だけでは解決できないことに直面した時、ネットや他人の力を借りてみる、ということを学べています。

検索して正しい情報を見つけられるということ。何を困っているのかをまとめ他人にちゃんと伝えるということ。そこでこれらを学ぶことができると思うのです。

トライアンドエラーは間違ってはいない事も多いですが、「生存バイアス」のような、できたからこれでいいんだ!という乗り越え方以外もあるんだよ、ということを知っているかどうかで生きやすさがだいぶ変わってくるはずです。

壁を乗り越えるためにどうするか?ということに多面的に、様々な角度から向き合うことは決して捨ててはいけない要素であり、コミュニケーションの中にそれを学ぶ機会もあるでしょう。

ゲームを遊ぶということ自体がコミュニケーションの中に位置するものだと思うんです。開発者、他のプレイヤー、そしてゲームの中の登場人物たち。

そういうものとの関わりや対話、感情移入がある。

これも一つのコミュニケーションじゃないですか。それらがたくさんの事を教えてくれる。さらに多くの事を学ぶきっかけにもつながるはずです。

 

私達はゲームを通じて何を学ぶのか

本書の中でゲームは学習ツールとして使えることを説明する中で、カードゲームにおける「ネット上にある、デッキレシピ(=デッキを構成するカードのリスト)をそのままコピーしてしまう子ども」についても触れています。

小幡氏は、ネット上にあるデッキレシピをそのままコピーする子どもはカードゲームの良さを活かせない、としています。
(コピーして、なぜこのカードをデッキに入れているかを考えられる子どもはその限りではないとも述べています)

その指摘については「ちょっと違うのでは?」という意見を私は持ちました。

 

どんな物事に対してもそうですが、どんな物に何を学ぶことができるかは人によるところがあるはずです。

温泉やレストランでビジネスを学ぶ人や、スポーツで科学を学ぶ人もいます。
もちろん、カードゲームでPDCAサイクルを回す経験を学ぶ人もいると思います。

 

そのようなことを考えれば、デッキレシピをコピーするということからも、
「こっちのデッキレシピにも、あっちのデッキレシピにもこのカードが入っている。つまり価値が高いカードだ!みんなが欲しがるから他の有用なカードと交換できるはず」ということや、
「なんでみんなこれを使ってるんだろう?どこが強いんだろう。目に見えない損得があるのかも」ということを学べるかもしれません。

良いデッキレシピが掲載されているサイトの探し方も重要になるはずです。そこからネット検索の効率的な方法や、検索エンジンの上手な使い方を学べることにもつながる可能性はあるでしょう。

 

「自分で考えること」が始まる瞬間はゲームの中だけではなくゲームに隣接したゲームの外側にもあり、そのときこそ「学び」が始まる瞬間であると考えています。

本書における「ゲーム=学習ツール」という考え自体は非常にいいものと思いますが、ゲームそのものから学ぶということにフォーカスが当たりすぎている気がしました。

 

ゲームが役に立つか、立たないか

この記事を書きながら、小学生時代に友達と遊んだ「ゴールデンアイ 007」や「鉄拳タッグトーナメント」、画面分割で妹と協力プレイでクリアした「ギアーズオブウォー」最高難易度などなど、誰かと一緒に一つのテレビ画面を見つめてプレイしたゲームを思い出しました。

 

どれもこれもいい思い出になっているものばかりです。

 

ゲームが役に立つか、立たないか。

あまりゲームに触れてこなかった世代の大人が見れば、子どもがゲームばかりしていて不安になると思います。

だからこそ「役に立たないから勉強しろ」というような発言も出てきてしまうのかもしれません。

もちろんいわゆる机に向かって、学校から与えられたものを学ぶという「勉強」も大切だとは思いますが、子どもが大きくなって、思い出して楽しかったと言える思い出を手に入れることも大切なんじゃないかなあと思います。

ゲームに限らず、娯楽に対して「役に立つか、立たないか」なんていちいち考えるのもなんだか疲れちゃいます。

「役に立たないからやらない」ではなく「役に立たない」でも「やりたい!」と心から思えるものに出会えたならそれは素敵なことですよね。

 

私事ですが、平成初期生まれの私はそろそろ30歳が見えてまいりました。

役に立たないと言われてもやり通した経験は人生のどこかで何かの役に立つはず、と今は思います。
30手前になってもがっつりゲームをやっているとは小学生の私は想像できませんでしたが……。

 

今のところゲームばかりやっていて後悔はしてませんし、プライベートでの人間関係をふまえてもゲームをやってて良かったなあと思っていますよ。
実際、ゲームをがっつりやってたことがこうしてトキノドロップで記事を書くことにつながったのだと思っています。

 

 

『ゲームは人生の役に立つ ~生かすも殺すもあなた次第~』は現在kindle版がamazon kindle unlimitedにて読み放題対象になっています。

 

 

 

 

 

 

この記事へのコメント

タイトルとURLをコピーしました