WUG記事連続企画「はじめましてのパレード」実施中

Wake Up, Girls!が灰にしたもの

アニメ

 

「皆さん、灰になる準備はできてますかーっ!!!!!」

”灰になる”と”ハイになる”をかけたライブ中の煽り言葉。記憶の宝箱の中に熱のこもった歓声とセットで入っている。いつからかWake Up, Girls!赤色担当、センターが使うようになった言葉だ。

あの子達は何を灰にしてくれてたんだろう。
彼女たちが解散して3ヶ月あまり経ったいま。
その答えは閉じたまぶたの中。

 

 

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正解を探して生きる日々

 

いつからだろう。物心ついたときから?その日まで私は、全てのことがらに正解を探して生きていた。
なんにだって、私の知らないどこかに正解があると信じていた。

自分が間違ってることだけは不変の事実であるから疑わない日はない。いくら自分を疑っても正解にはたどりつけなかった。こうしていればよかった。ボタンの掛け違いのような失敗が続く。

私以外の人々は正解を知っているのに、私だけが正解にたどりつくことができない。

「最高効率の最適解の正解」を知る私以外の人々は正しい努力をして結果を出していった。結果が出ないものは無駄で、評価されないものも同様に無駄で正しくないということを彼らは行動で示した。

 

きっと、私は私だから正しくないんだ。そう感じるたび私の感情は外側から真っ白に塗りつぶされていった。

まるで誰でもない誰かに、私を最初からなかったことにされていくような。あのときああしていれば、なんてわかりっこない。私は私以外の誰かにずっとなりたかった。できることならそうしたかった。

テレビで事件の報道が流れるたび、どうして私は誰かの代わりになれないんだろうって泣きたくなったとき、泣けなかった。涙という感情が枯れてしまったことを理解したとき、なんて空虚なんだろうと思った。

 

けれども、
わたしはWUGに出会ってしまった。

 

正しくなくても信じられるもの

 

正しい人々は、WUGという存在そのものを正しくないと笑った。
私もそれが正しい評価なのだと思って正しい人々の真似をして人間ごっこをしていた。

あるとき、WUGのアニメと向き合うきっかけをくれた人がいた。初めて向き合ったWUGアニメはちっとも正しくなかった。アイドルマスターほど絵がきれいじゃなかった。ラブライブほど楽しい世界でもなかった。

でも、一生懸命だった。

島田真夢も、林田藍里も、岡本未夕も、菊間夏夜も、
久海菜々美も、片山実波も、七瀬佳乃も、大田邦良も、
そしてその時はまだ名前を知らない次回予告に出てくる”中の人”達も。

それぞれが希望や大切な人達への想いを大事にしながら全力で生きていた。
たとえ笑われても、何を言われても止まらなかった。

 

世界では彼女たちは正しくないのかもしれない。
けれど世界がどう評価しようとも、私は彼女たちの姿を正しいと思えた。
彼女たちはきっと間違ってない、人生で初めてそう信じられた瞬間だった。

 

WUGへの愛にあふれた記事を見た。
正しい世界の人たちが笑うような物語の解釈をしていた記事だった。唸らされた。本質を見ていた。
この人の書いていることは間違ってるだなんてちっとも思えなかった。

なにが正しいのか、正しくないのかなんてもうわからなくなっていた。
きっと正解なんてどこにもないんじゃないかと考え始めていた。

「とりあえず仙台に旅行に行こう、WUGの聖地巡りができる」
そう言って放り込まれた軽自動車。
「WUG1stツアー最後の公演へのチケットが余ってる。俺は見るけど、君は?」と聞かれた。
きっとこのライブには人生を変えてしまう何かがきっとある。兆しを感じた。
そうして自分の意志で見た、人生初のライブ。

 

“中の人”こと声優ユニットのほうのWUGの姿も、とにかく一生懸命だった。WUGのファン、ワグナーも一生懸命だった。お互いがまっすぐ向き合っていた。

他のものはその間に入る隙間なんてなかった。その瞬間を全力で生きていた。私はその凄まじい熱量を身体で感じて、自分はその中に入ることはできないんだろうな、と思った。

 

突然、”言の葉青葉”で客席側から男性の歌声が重なっていった。
それはセンターの子が涙で声を詰まらせた瞬間、その部分をワグナーが歌いはじめたのだということを一瞬遅れて理解したとき。

…ライブはアーティストが一方的に作るものではなく演者とファンが作る空間だということ。
…演者とファンの間で幸せや元気を伝えることができたら、お互いに伝えた以上にそれが返ってくるということ。
…そして、そうした幸福の再生産の連鎖がここで生まれるのだということ。

そんな事実を私は感情で受け止めてしまった。あたたかくてきれいな感情だった。
きっとその時の私は、涙を流していたと思う。

私が心から信じられるものを目撃できて、このライブを見ることを選んだ私は、
誰がなんと言おうと間違ってなかった、って自信を持って言えた。

Wake Up, Girls!が灰にしたもの

そうして1年くらい経ったある日。
あの1stライブツアー仙台公演を思い出しライブ後のWUGメンバーブログを探して、タイトルが「私の居場所@まゆ」という記事を見つけた瞬間だっただろうか。

わたしがWUGから受け取った想いや物語はわたしだけのものなんだとふと気がついた。
その中にある感情は誰かに評価される正しさとは切り離されている。

正しくても、正しくなくても自分の感情を否定しなくていい。
それに気がついたとき、私の心を真っ白に塗りつぶしていたなにかが、燃え尽きるように思えた。
足元に散らばる灰色のそれは、誰かの言葉の枷だったかもしれない。

 

どんなに間違ってると言われたって、夢中になれるものへの想いは誰にも渡さなくていい。
それを続けていられる限り、私は誰かになりたかった私ではなく、私として生きていける。
感情を掲げて他のことはなんにも考えず、大好きなものの尻尾を全力で追いかける人の姿は傍からみたらバカに見えるかもしれない。

でも、私はそういうバカになりたい。
私が見てきたワグナーはWUGに、推しに、夢中で真剣な人たちがたくさんいた。
大好きなものにバカになるほど本気になれる人の眼差しは本当にかっこよかった。
そっち側に足を突っ込んでしまったと実感した時、間違いなく私は私の人生を生きていた。

 

WUGに出会ってからの時間は最高にぶっ濃くて。特に解散発表から2019年3月8日の解散までの時間は本当に濃密だった。振り返ればあっという間だけど、半年が数年分くらいに感じられた。

ぜんぶが私が私になるまでの時間。これはきっと青春と呼ばれる類のものだ。
だからなのかもしれない、汗と熱気に満ちた会場のあの雰囲気を思い出すことができる。
つまり想い出の中にある風景の一つになったのだって自信を持って言えるだろう。

 

「みなさん全力で声出せますか!!!!!!!」

アンコール前あたりの、あの雰囲気。
記憶の中の吉岡茉祐が吠える。

 

「まだ声出せるんじゃないですか!!!!!!?」

何かに真剣に向き合う心地よさも、
間違ってても信じられる何かがあることも、
自分の想いを大事にすることも、

 

「明日のことは考えない!!!!!!!」

ぜんぶ、WUGが教えてくれた。
この出会いは最高の出会いだった。
私は最後に私なりの感謝を、伝えることができたと思う。この先に何も後ろめたいことなんかない。

 

「…灰になる準備は出来てますか!!!!!!!」

彼女たちが焼き尽くし、灰にしたもの。

…私にとってのそれは。
誰にもなれずにいた、誰かの代わりになろうとする私だ。

私は、誰かになれない。でも誰かになんてならなくていい。
私は、私から逃げることなく生きていくしかない。
正しいとか、正しくないとか、そんな言葉に怯えて何かを諦めた先には後悔にまみれた明日しかない。けど、そうじゃない生き方もあるってWUGに教えてもらった。

わたしの感情を知ってるわたしの代わりはどこにもいない。わたししかいない。何があったって、わたしはこの感情を燃やし、その度に涙を流していいってことを知った。
この世界で生きていてもいいんだって、いまそう思える。ずっと真っ白なキャンパスのような世界に生きてたんだよ。それでもこんな出会いがあるんだって事に気がつけた。この世界に色がついた瞬間だった。

WUGに命をもらったって、言ってもいいのかもしれない。
そんなだからSSAで山下七海に「ワグナーさんはいつも話が大きいですね」って優しく言われてしまうんだ。
いま手元にある記憶も、感情も、人生の宝物だ。ずっと探していた、わたしがわたしでいていい理由。
これだけは誰に何を言われても、絶対に価値のあるものだって胸を張って言える。

そういえば。

最近は、遺灰からダイヤが作れるんだそう。
灰にしてもらったわたしが手にした人生の宝物。実際に触れられるなら、きっとダイヤの形をしてると思う。
何から何まで、いまのわたしはWUGでできている。

ああ、本当にたくさん幸せをWUGにもらってしまった。
WUGにこれを返せないなら、これから多くの人を幸せにしたい。
だっていまのわたし、本当に幸せなんだよ。
あの子達に出会えてほんとうに良かった。


Wake Up, Girls!記事連続投稿企画「はじめましてのパレード」

に向けて書いた記事です。

岩手公演の記事。

赤雪すずみ

どこかの誰かの心に届く言葉を書きたい。
同級生よりもFFXIのおじさま達と親密だった学生時代、
アメリカでレモネード売る代わりにジュノでアップルパイ売って社会勉強。
オタクやってりゃなんやかんやあるけれど、わたしは元気です。
涙腺はマンボウ並のクソザコなので記事作成中の自滅泣きが多い。
取材記事、記事の依頼お待ちしてます。

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