WakeUp,Girls!FINALLIVEの記憶。思い出のパレード。

Wake Up, Girls!

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忘れないということ。

あの子達に忘れないで欲しいと、僕らは言われてしまったのである。

2019年の3月8日は忘れたくなんかないくらい、すごく楽しくて、きらびやかで、涙が止まらなくて、大好きで、大切な時間だった。間違いなく人生で最高を更新するくらい、幸せな瞬間だった。

だから、「忘れないよ」と大きな声で約束をした。

 

それでも僕らは忘れてしまう。記憶というのはおぼろげで、見たすべてを記憶することはできなくて、記憶のカケラをつなぎ合わせてその日を思い出す。いつかそれもできなくなっていく。

だから、遺そう。何度もあの日のことを、思い出そう。これまでを、振り返ろう。

そして形にしていこう。頻繁に思い出す記憶は消えにくい。

忘れ物のないようかばんの中身を確かめるように、記憶のメンテナンスをしよう。

 

7人が残した思い出をこれから出会う誰かや、何かにつなげていく。

それも約束の一部だ。

あの子達にもらったものが幸せを見つける手がかりになるかもしれない。

いつかWUGとワグナー、みんなに極上の笑顔でまた会いたい。

 

だから、残そう。語り継ごう。

あの日見た最高の景色を。

 

ロード・トゥ・SSA

私は、前日から眠れなかった。いや正確にはこういう時は眠れないって知っていた。

寝ようとしなかったのかもしれない。いつもこういう時、家に泊まっていく先輩ワグナーは年度末で忙しく、職場から公開リハーサルに直行するというLINEが届いた。

 

それを見て私はアホみたいな顔をしながら「いまさら大宮の近くで宿取ってない人、いる…?」というアホみたいなメッセージをグループに投げた。

すると返信が個人のほうから飛んできた。

先程、「焼肉食べたい」なんてツイートをしたけど時間的に諦めてしまったワグナーからのLINEだった。

WUGFINALツアー熊本で銭湯で人生の洗濯をしたワグナーだ。

 

WUG FINAL熊本の思い出。水色の光に想いを込めて。
個人的に思い出を振り返る内容。ライブ以外興味ない場合は2日目まで飛ばしてね! セットリストはありません。ネタバレもほぼありません。 1日目。熊本へ前日入り。 はじめての飛行機。 自分で予約して自分で手配した。 めっちゃ不安だったなあ… 昼頃...

 

「夜の大宮に繰り出そうぜ!」夜の大宮にはスケベなお店とおねえちゃんのいる飲み屋と飲み屋しかないんやぞ…と返す前に、そういえば大宮には焼肉屋が多かったなあ、と思い出す。

美味しいところ1箇所しか知らないけど。そこを調べる。営業時間は27時と書いてある。

「韓国の軍隊上がりのマスターがやってるケギョクサン。ここ結構遅くまでやってるし、韓国家庭料理もうまくて…」なんてやりとりをしてすぐ、私は深夜の大宮に本当に繰り出すことになっていた。

翔んで埼玉の劇場版がこの頃話題になっていた。埼玉県民は自分の住んでいる所以外は別の国です、なんていうツイートがあったことを頭から追い出しながら、自転車を走らせた。

 

2019年3月7日。この夜は雨が降ったあと止んでおり、風が吹いていた。

嵐の前触れみたいな天候だった。なんとなく見上げた空は雲がほとんどなかった。

星空に北斗七星を探したけれど見つからない。きっと明日に備えているのだろう。

 

この日の、胸の奥の何かが飛び出しそうな落ち着かなさを私は知っていた。

 

2014年の、夏の仙台。WUG1stツアーファイナルは初の仙台でのライブだった。

先輩ワグナーに「仙台に観光しに行くぞ」と私は車に詰め込まれ仙台にいた。

先輩ワグナーが昼公演を見終わった時、「チケット安く譲ってやるぞ、どうする?」と言われた。悩んだ。人生初のライブ。どんなアーティストのライブも見たことがなかった私が、WUGのライブを見る。うだつの上がらない何も出来ない私の何かが変わりそうな気がした。当時からド貧乏だった私は家族に電話をかけて金を借りた。

 

そうして見たあの日のライブは本当に私の人生を変えてしまった。

 

あの日、先輩ワグナーにチケットを譲ろうかと言われた瞬間。

 

2019年3月7日の私はあの時と同じものを感じていた。わくわくするような、なにかが変わる前触れのような何か。

 

そうして出てきた大宮、結局ケギョクサンは閉まっていて、カラオケマックでWUGの曲をオールナイトで歌うことになったけれど、ワグナーとそれなりにゆっくり話すことが出来た。

 

 

SSAの1曲目はなんだろうね、という話をした。

直球で「タチアガレ!」だろうと私は予想した。時系列順に歌えるし、最後にアンコールでタチアガレ!も歌えるだろうから。私はきっと泣いているだろうけど。

 

結局の所、この予想はおおむね当たっていた。「アンコールのタチアガレ!で私が泣いている」という所以外は、だったけれど。あんまり泣かなかったから。

 

物販に早めに並んで、セブンイレブンでカップ麺をすすった。見た目と匂いでお腹がすくだろうからと列から離れた所で食べたとんこつ味。うまかったけど、なんだか味をあんまり感じなかった気がする。おにぎりも4個食べた。明らかに食べ過ぎだった。緊張していた。

物販はバタバタして、販売開始直前に購入可能数が少ないことが発表されたり、そのあたりで #WUG_SSAというハッシュタグがTwitterで発表されたりしていた。

このときはまあぼちぼちWUGちゃんがこのハッシュタグを見て振り返るんだろう、くらいの感覚だった。

 

2600という数字

 

本人確認を済ませて、首から下げるタグをもらった。スタッフパスみたいな見た目で…なんだかVIPパスみたいだな、と思った。

公開リハーサルに入場する。通路をひたすら歩く。

見たことのないSSAだった。モードが違うから、というのはあるだろうけど、こんなに歩くものだっただろうか。

自分がいまどこにいるのか、どの席の近くにいるのかもわからないくらいになって、前方が詰まり出す。歩く速度がほぼ0になっていって人が溢れてくる。

 

どうやら狭い入り口一箇所しかないようだった。だから人がぜんぜん進まないんだろう。なんとなく開演時間ギリギリになって焦りとか列が動かないストレスを感じ始める。それにしても、どれくらいの人が公開リハーサルには集まるんだろう?会場はどうなっているんだろう。

 

とろとろと歩いていく。狭い入り口を、抜ける。

 

会場はめちゃくちゃ広かった。

ああ、こんな広いところでやるんだ。ここまで来たんだ。最後だけれど、こんなに人がいっぱい入る会場でやれるんだ…。涙が溢れそうになる。

着席すると、ずいぶん来場者の席が偏っているというか、花道周辺に固められていることに気がつく。私は花道の近く、アリーナ前方でライブ本番より近い席だった。

 

飲み物やペンライト、それにいろいろ…と準備をしているうちに公開リハーサルが始まってしまう。

ステージにWUGちゃんが現れる。リハーサルなのにこんなにいっぱい来てくれてありがとうと誰かが言ったのを覚えている。

 

公開リハーサルの来場者数。それが2600という数字だった。

リハーサルだけど、コールを全力で入れる。イヤモニや、音圧を少しでも本番に近づけることができればトラブルも減るだろうと考えた。私はWUGが全力を出せるよう手伝いたかった。

止まらない未来、リトル・チャレンジャー、7Senses…いろいろ歌ったけれど、

コールが、反響して戻ってくるのが遅い。

会場が広いということを実感する。

WUGちゃんも同様だったようで、同じようなことを言っていた。

 

本番の席番についてだがわぐらぶ先行のワグナーは、アリーナか200LVに固められていた。

200LVに歴戦のワグナーを配置して、声を出してもらう…というつもりだったのかもしれない。だとしたら、その期待には応えなければならないと気合を入れた。

MCの時間があった。本番中はMCの時間が殆どない、ということだった。

 

「休んだ人はなんて言って休んだの?」とWUGが聞くと「家庭の事情!」と叫んだワグナーに、「私たち家族だもんね…」とたぶん、青山吉能が返したのが、しんみりした。

2600人の家族。WUGは2000人以下くらいの規模のホール公演をずっとFINALツアー、それよりも前から続けてきた。アクティブなワグナーはだいたいそれくらいの人数だったのかもしれない。それがここに集まっているとしたら、ずいぶん精鋭ぞろいの家族だなあと笑った。

SSA、何人入るような配置なのかはわからないけど、きっとワグナーじゃない人、初めてWUGを見に来てくれる人がたくさんいるはずだ。

だから彼らが安心してコールや応援できるように引っ張っていかなければ、とも思った。

 

同窓会と卒業式。円陣と敗北と確信

公開リハーサルを終え、仲間たちと合流をすることになった。

彼らの姿を探してけやきひろばにやってきた。あの暴行を受けたアニサマ以来のけやきひろばだ。

やなこともあったねー、と笑う。

そこは過去の話にはなったけど、それ以上にアニサマの事が頭から離れなかった。

 

あの時は、コンテンツの規模、バックにあるコンテンツの人気や強さが圧倒的にファンの数に関わるのだということを知って打ちひしがれていた。

WUGが他の大手と同じか、それ以上には頑張って涙を流しているだろうことは知っていたから。それでもどうにもできないんだ。ワグナーとして頑張ってきたけど、どうにもならなかったんだ。

あの日、私は負けていたな、と思う。

でも、今日はどうだろう。アニサマほどではないけれど、人がとにかく多かった。

現場で見たことのない人が、初めてWUGを見に来てくれている人が、既に「他界」して別現場に行った人が来ているとなんとなく空気で感じた。WUGの現場では考えられないくらいの人がそこにいた。

過去にWUGを追いかけていた人、色んな人がここにいて、まるで同窓会みたいに沢山の教え子が集まっていた中学の恩師の葬式を思い出していた。

これは葬式と例えるにはちょっと明るすぎる。明るいお別れをするための同窓会。

そう、卒業式ってこんな感じだったかもしれない。

 

私に挨拶したいという方が何名かいらっしゃって、その殆どがドリフェス!のファンの方…「DearDreamとKUROFUNEのオンナ」(褒め言葉)だった。

ワグナーとドリフェスくんのオンナの間にアニサマで生まれた縁。

その縁がフラワースタンドを双方に行ったり来たりさせたし、

私をドリフェスくんに出会わせてくれたし、ドリフェスくんに私というワグナーは実際に救われ、記事を書かせた。

 

ワグナーがドリフェスくんに武道館で救われた話
夢の先の場所からその先へ。イケるっしょ! …なんて文を出だしにした感想を書きたくなったのだ。 そう書かなければならないと思った。 彼らと彼女達に渡されたバトンが手元にあるから。

 

こうして、Wake Up, Girls! FINAL LIVE ~想い出のパレード~というWUGの最後のライブに来てくれる方まで現れた。

その事が本当に嬉しくて、ありがたかった。

 

手紙まで渡されていた。この記事を書く少し前に読みました。

「あの記事がなかったらSSAに私はいませんでした、ありがとう」だそうだ。泣いてしまう。

 

私は今までWUGを知ってもらうために色んなブログで色んな記事を書いてきたけど、いつかどこかで誰かの役に立って来たらしい。今回もそうだったようで、DMやリプライで「ありがとう」を伝えてもらった。今までやってきたことは無駄じゃなかった。

アニメWUGに登場する大田邦良さんは、WUGがどんな逆境にあってもWUGを支えるファンであり続けた。見守り、応援し、私設FCまで作ってしまった。

常にヤマカン憎しで叩かれ続けるWUGを、WUGの本当の姿をもっとみんなに知ってほしかった。どうしてWUGちゃんの良さをわかってくれないんだ。

こんなに一生懸命で素敵な子たちなのに、見もせずヤマカンを叩くために上っ面だけ取り上げて…。

だから私が発信するんだ。WUGのすごさを知ってくれる人を増やすんだ。

 

そう思ったのが最初のブログを作ったきっかけにつながった。いろんな原動力になった。

私は大田邦良になりたかった。少しは彼に近づけただろうか。

たぶん、私に届いている声があるってことはきっと意味があることをできたのだと思う。

 

気がつくとけやきひろばにだんだん人が集まって円陣が組まれていた。

「「「「「「「いくぞ!がんばっぺ!Wake Up,Girls!」」」」」」」

今までで聞いた円陣でいちばん大きな声だった。

 

なんだか夢みたいだった。

人が、とにかく増えていた。

これならSSA、埋まるかもしれない。

 

確かに私はアニサマで負けた。

何に?

わからない。コンテンツに?人気で?

結局の所それはWUGに振り向かせたかった誰か、かもしれない。

アイマス、Aqoursやバンドリのついで、じゃなくて、

WUGのためだけに今日ここに来てもらいたかった人たち。

彼らを振り向かせる事が…これなら出来てしまうんじゃないか。

 

あの時負けた何かを、今日という日は勝って手に入れることができる。

2019年3月8日のライブが始まる前の瞬間で勝ちしか見えなかった。

勝つんだ。

ドリフェス!武道館でソーマイシハラがこれまでを「勝ちです」と全肯定したように。

勝ってWUGは、伝説になる。

私は確信した。

 

花の道

身内で、記念撮影をした。急遽作った色紙に貼り付けて、プレゼントボックスに入れてもらった。

それから円陣を組んだ。

「いくぞ!がんばっぺ!Wake Up,Girls!」

いくぞって言うのは水色推しの私からリスペクトしかないあいつで、がんばっぺ!は精鋭の緑推しのあいつら。

私たちは推しで固まってなかった。

それぞれ別の推しの連中が集まった寄り合い所帯だった。

そんな人間たちを引き合わせたのはWUGだった。

 

だからお礼がしたくて、フラワースタンドを企画することになった。

「フラワースタンド出しまくって、俺たちの愛で物理的な花道作ろうぜ」とか言われたら、乗るしかなかった。

そのフラワースタンドが飾られているはずだ。だから早めに会場に入場した。

フラワースタンドの量は、想像を超えていた。

 

本当に花の道だった。花道は出来ていた。

通路のサイドにあるフラワースタンドは迷路みたいにずっと続いていて、走って動画を取りたくなるくらいだった。

関係者62基、ファン216基というツイートを見かけた。そのうちの一つ、我々のフラワースタンドはちゃんと飾られていた。少しでも、あの子たちにこの「ありがとう」が伝わったらいいな、と思う。

 

 

ライブ本番。13000という数字

本当に、本当に花の迷路はずっと続いていたからある程度を撮影したあと、自分の座席に移動する。

200LV。

見切れるんじゃないかって心配していた席はやっぱりステージの映像は見切れていたけど思ったより悪くなくて、

そんなことよりも、さっき見た2600人、前の方しか埋まっていなかったステージはほぼ埋まっていた。

 

13000。メディア発表のライブ参加者数だ。

つまり、先程の公開リハーサルから10000人ほど増えたことになる。

実際応募の結果公開リハーサルに参加出来なかった方もいるけれど、かなり少数だ。

公開リハーサルに参加していたアクティブなワグナー2600人に加えて、10000人の客が今回参加するということ。

本当に夢のようだった。会場にはサイリウムの光があふれ、うねる。

それぞれ1本1本に持っている人がいる。この光の海はWUGのためだけにここに見に来た人が作っているということが嬉しくて涙がこぼれる。

Wake Up,Girls!は今日、1万人に見つけられたんだ。

 

幕が上がる

松田、丹下社長、早坂さんのナレーションからスタート。FINALツアーではナレーションは大田邦良の担当だった。

彼らは二次元の存在だ。

最後までWUGはこれまでを、アニメをなかったことにはしないし、今に繋がっているものとして肯定した。そしてWUGであることを否定しなかった。

 

オープニング映像が流れる。制服を着た7人が、それぞれの出身地からSSAに向かうというものだった。

この7人の姿が、2014年の姿を何故か思い出させた。今は2019年であってるよな、この映像は今撮ったやつだよな、と考えてしまう。

きっとそうだ、という答えに行き着いて、これまで長かった道のりを振り返りそうになる。

夢は単独SSA。そう語ったのは吉岡茉祐だったっけか。叶っちゃったね。ここまで一緒に来れてよかった。

そうして制服の7人が最後のステージに現れた。

ファイナルライブ1曲目となるタチアガレ!のイントロが流れた瞬間に、涙が流れそうになるけれど、ここはSSAだということを思い出す。

広い会場に響かせるには最大音量のコールを入れる必要がある。

だから、全力で彼女たちの名前を呼ぼう。

 

そんな気負いは必要なかった、ということをに気付くのは数秒後。

会場全体から爆発するような音量の、「Wake Up,Girls!」コールが聞こえたからだ。

みんな全力だったし、初めてWUGを見る人もコールが揃っていた。

初めてWUGを見た時から私はワグナーとして扱われた事を思い出した。

 

ワグナーとして扱う事を本人が望むかどうかはともかく、ここにいる誰もがライブの参加者で、当事者であり共犯者になる。

WUGに、巻き込まれていく。舞台装置であり、幸せのループを起こす存在になっていく。

それがWUGのライブだって事を改めて実感する。

 

16歳のアガペー。

「運命みたいな瞬間信じて まっすぐ君の名前を呼ぼう」の後に続く名前を呼ぶコールにはここがSSAだってことを忘れるくらい愛情が乗っかったコールが溢れていた。

 

7 Girls Warでは「まゆしぃコール」が完成していた。

これまで色んな人が呼びかけ、行ってきたそれはちゃんとその場所に収まっていた。コールがわからない人も座席の近くにいた。

だから全力で彼らをリードできるよう入れるけど、吉岡茉祐の煽りはそんな彼らの熱量もトップギアにしてしまう。

 

制服で歌われるゆき模様 恋のもようは舞台を思い出させる。

 

言の葉青葉は背景が光のページェントの中で歌われる。

MVを思い出させる。間奏の光の玉をつないで渡していくような振り付けを見て、私が最初に見たWUG1stツアー仙台を思い出す。ずいぶん遠いところまで来た。今日を想像できただろうか。

 

ここでアニメ、BtBまでの映像が流れる。

Beyond the Bottomのライブシーンの映像が流れ、すこしびっくりしたのを覚えている。

そして、WUGの物語のバトンがアニメから三次元へ渡される。

セットリストに続けて何かコメントしていくのがあんまり上手じゃないというか、なんか薄くなっちゃう曲が出てくるのが嫌で、あんまりやらないのでこのあたりをまとめて書いてしまおうと思う。

これらの曲がひたすら楽しくてしょうがなかったってこと、解散なんて本当にするの?ってくらい楽しいに支配される瞬間だったってことを覚えている。

それしか覚えていないかもしれない。

One In A Billionのイントロ、そして光が8つあったときにあの人がもしかしたら…!?と思ってしまったけど、May’nさんはWake Up. May’nであると同時にワグナーなのだ。

WUGのことを愛してくれている人だからこそ、この日はWUGと同じステージに立たないはずだという確信を持った。

最後のWUGのステージは、7人のステージであるべきだって私は思う。ワグナーの総意だなんて思うつもりはないけれど同じ事を考えていたんじゃないだろうか。

だから8つ目の光はあの人への想いや感謝が込められていたって事も気がついた。

出会ってくれてありがとうってWUGが叫んだ時、私も同じ気持ちだった。

ワグナーの一人としてあの素晴らしいワグナーへ感謝を伝えたかった。

花道での素顔でKISS ME。

360度に広がるフォーメーションはとんでもなくきれいだった。

WUGはどこまで進化するんだろう、これが最後のライブだっていうのに。

熱量もすごかった。WUGに初めて来る人も結構知ってる曲だったのかもしれない。

劇中での扱いはひどいけど、好きなワグナーもそこそこ多いはずだ。ファイナルで見れてよかった。

恋?で愛?で暴君です!も楽しくてしょうがなかった。

個人的に16歳のアガペーと素顔でKISS ME、恋?で愛?で暴君です!のどこかにつながりを感じている。けれど、そういう考察とか一切できないくらいひたすら楽しい。

オレモー!って叫ぶのも、クラップも。

キャラソンサビメドレーとNon stop diamond hope。

WUGはトロッコに乗ってのパフォーマンスだった。トロッコ来るのかねえ。なんて話をワグナーの概念みたいなあの人と公開リハーサルの後にしたのを覚えてる。こんなにぐるぐる動くと思わなかったし、全員がトロッコに回るから近くに来たメンバーのカラーにサイリウムが変わっていく。

そうして会場のサイリウムがきれいな虹色に分かれていたのがすごく印象的だった。

仙台で虹を人工的に作ろうとした人間が反感を買った。自分の事を優先して問題や犯罪を起こすような真っ黒な人間とつながりを持つクリーンじゃない人間だった。その事は伏せられていた。巻き込まれて協力したのは何も知らない人、知っているけどWUGのために人肌脱げる人間だった。

それでも黒い人たちのためではなくワグナーがWUGを想って愛を優先させたから出来た虹。あれはあれで悪くなかったけど、それよりもこの天然の虹は何故かきれいに見えた。

虹はつくるものじゃなくて、できているのを見つけたほうがきれいに見えるものなのかもしれない。

予定調和じゃないってこと、それ自体に価値があるのかもしれない。

いま過ごしてる日常も、このライブも予定調和じゃない。だからこそ大切にしないといけない。

 

ワグ・ズーズーのダンスを覚えててよかったと思う。

周りの人は意外とみんな覚えていて、なんだか安心した。200LV、ほぼ見切れ席のあたりは歴戦のワグナーだらけだったのだろうか。

HIGAWARI PRINCESSは全員プリンセス。

いつも誰かがいつかやるだろうって思っていたけれど、さいたまスーパーアリーナのこの日はWUGがプリンセスだった。それでいい。

ここにいる人はみんな「すごいよプリンセス」と褒めて帰るはず。

スキノスキルと僕らのフロンティア。

ここから先の世界でも、たいせつなもの、忘れないように。奥野香耶と永野愛理ダブルセンター曲だっていうことが何よりも素晴らしいとインタビューを読んで感じた。

新幹線で会話せずに帰ったころもあったと言っていたのは知っていたけど、いまはこの二人、チーム東北を両方推している人がいっぱいいる。

また東北でイベントをやってほしい。

その時は行きたい。

WUGも、ワグナーも、目指すフロンティアにいつかたどり着けますように。

 

「約束の地」「約束の時」のど真ん中でみんなで一緒に歌った7 Senses。

WUGのセンター、吉岡茉祐が煽ると温度が変わる。「来いやあああ!!!!」

泣いちゃって声大きくならなかった。

 

FINAL TOURに入って以来、極上スマイルを何となく盛り上がれない曲だと思っていた。

 

FINAL TOURになってから騒ぎたいだけの人も増えた。結果としてワグナーも増えた。

これまでWUG現場では割と疎ましく思われていたmix。「タイガー!ファイヤー!サイバー!ファイバー!ダイバー!バイバー!ジャージャー!」ってやつ。

昔から結構入れる人はいたけれど、減ったり少数派だった。

 

これがそのタイミングでめちゃくちゃ増えた。他現場のノリや、アニクラのノリで入れる人がいるんだろう。

私はWUG現場でのmixが好きじゃない。というかよく意味がわからない。汚い声でやればやるほど良いらしい。よくわからない。音が嫌いだった。リズム感は好きなんだけれど…。

とにかくこれは文化、だと思う。好きではないけど、それが普通の現場もある。

これが極上スマイルには殆ど「なかった」のが「突然増えた」。

なんだかついていけなかった。私はmixを入れることができないし、何だか疎外感が凄かった。

聞けば聞くほどなんだか私の知ってる極上スマイルじゃなくなってしまっていく感覚。

part3は極上スマイルがラスト曲だったこともあり、ちょっと寂しく感じていた。

 

このmixに対して公開リハーサルで、「みんなそこで何言ってるの…」「意味とかあるの…」と青山吉能が尋ねる。あの子の事だから知っててそういう言い方をしてくれているのだろう。意味なんかない。聞き取れないのがmixだと思う。

田中美海に「私の声聞いてほしいな〜…」と言わせてしまったので、私は実質禁止令と捉えた。

最後じゃん!もうちょっと早めに言ってほしかったな!!!とはちょっと思ったけど、それでも嬉しかった。

 

実際それでも公開リハーサルにいなかった人は本番でmixを入れていたけれど、なんだか逆に嬉しく思った。公開リハーサルにいた人は殆どmixを入れてなかっただろうから。

これまでWUG現場にいなかった人がmixを入れているのだ。なんとなく笑顔になった。

私はmixが出来ないなりにケミカルライト(=ウルトラオレンジ)を持参して来たのでそれを折って全力で楽しむことが出来た。

 

mixの話は正直好き嫌いの問題だけれど、嫌いな人は多かったと思う。ないところではやらない、やる文化があるところではやる、それでいいのかもしれない。

そして、どんな時も楽しむということに前向きに取り組むことができれば気にならなくなるのかもしれない。誰かに迷惑をかけないような自分の楽しみ方を見つけることは大事だ。

FINALライブまでWUGに学ぶことばかりだった。

 

I-1、RGRから贈る言葉。

役名を叫ぶか悩んだ。

 

雫の冠を聞いてやっぱり今を切り取りたいと思った。とっておきたかった。

少女交響曲の落ちサビで吉岡茉祐と青山吉能の手がつながったのを見た。

 

Beyond the Bottomは原作再現だったのか

 

最強のBeyond the Bottomだった。

原作再現やハイパーリンクっていうのは原作側から来るものだと思う。

「原作」を完全に上書きして見せたのがこのBeyond the Bottomだった。

だって、アニメ中でもI-1アリーナでWUG単独ライブはやってないのだから。

 

3次元のWUGが2次元のWUGから渡されたバトンを持って、虚構ですらたどり着けなかった所にたどりついてしまった。

だから田中美海が「WUG最高!!!!!!!」と叫んだのは原作再現なんかじゃない。

 

Wake Up,Girls!が、Wake Up,Girls!とこれまで関わったすべての人の力を合わせて台本を更新するためだ。

WUGとワグナーが次のステージに進むために、この物語を最高の形で終わらせなければいけない。

悲劇で終わる誰かの物語じゃなく、私たちが取り戻してきた私たちの物語だからこそハッピーエンドの大団円であって欲しい。

 

新曲:組曲

海そしてシャッター通り

言葉の結晶

土曜日のフライト

さようならのパレード

この4曲は組曲みたいになるように作られていたけど、ライブで4曲続けての披露は初めて。

海そしてシャッター通りは、気仙沼の風景が背景に写っていた。見切れ席でもないのに見切れていたのであんまり見れなかった。

 

 

言葉の結晶は最後まで辛くて痛くてプラスチックみたいで、そして美しかった。

会場の人がコールやクラップを入れなかった。見惚れていたんだと思う。

「そんざいだけで うつくしいもの」ここで、白>カラー>白の順番にメンバーの照明が切り替わる。

白から、7色。それから白に変わるということ。WUGになって、WUGじゃなくなるということかもしれない。

背景の7色の玉が、尖って消える瞬間、静から動に転じるような激しいサビのパートに入る。これまでプラスチックみたいな歌声に感情がこもっていく。この1曲だけでWUGの物語が込められているような、そんな曲だった。

 

土曜日のフライト。最後の振り付け。

階段に座っていくWUG、最後に扉を閉めるような振り付けの永野愛理と吉岡茉祐。座ったWUGが何かを見上げる。あれは飛行機なのかなと思う。

乗っているのはワグナーだろうか。「土曜日のフライト」に乗るのは私たちだとしたら、小さくなっていくWUGを上手に忘れることができるだろうか。

 

さようならのパレードは、やっぱり涙がこらえきれない。

これまで3回ライブで聞いて、CDでも何度か聞いて慣らしたつもりだったけど、やっぱりさようならに慣れることは無い。声が震えるけどそれでも笑顔で。WUGは希望に満ちた歌声をSSAに響かせた。連番者も、その隣も、その隣の隣の人もみんな涙で頬を濡らしていた。

でも、悲しいから流れる涙じゃないような気がした。感謝の涙だったのかもしれないと思う。

一人ずつ、カーテンコールのような振り付けでお辞儀をしていくWUG。ワグナーから沢山の想いを込めた拍手が送られる。

送り出す拍手。ありがとうを伝える拍手。大好きを伝える拍手。会場が優しさと愛情でいっぱいに包み込まれた。

 

そしてCDの歌詞にない、最後のフレーズ。

奥野香耶が「一緒に!」と叫ぶ声はステージが見えなくても泣き顔が見えるようなものだった。会場から聞こえた「Wake Up!」はみんな涙声だった。

 

アンコール明けのSHIFT。

鍵が見つかったから、あの口上はなかったのだという解釈をしている人がいた。きっとそうなんだと思う。

だからこれはpart1の再演ではなくて、その先のSHIFTだった。

 

もしかしたらその鍵はさようならのパレードで持っていく、「抱えきれない大きな想いの鞄の鍵」でもあるかもしれない。

地下鉄ラビリンスも最高に楽しかった。なんでこんなに楽しいんだろう。アンコールを迎えて、きっと寂しくなってきたからだ。新曲4曲で空気が変わった。楽しいと寂しいはきっと同居する。

 

TUNAGO

 

たくさんの手がつながれたのを見た。手を繋ごう、心をつなごう…。みんなふりを覚えてきていた。沢山の手が横に出ていた。それを見て、真似してくれている初めての人もいたように見えた。

これまでのことをちゃんと繋いでいきたい。

 

Polaris-WUGからの手紙

7人からワグナーに向けて書いてきた手紙が読み上げられる。

MCが短いと言われていたこともあって、WUGとして最後の手紙は長く時間が取られていた。しっかり聞けてよかったと思う。

 

ファミ通の記事に手紙は全文載っている。

 

https://www.famitsu.com/news/201903/10173048.html

 

ここでは私から感じたこと、手紙にかこつけて思っている事を書いてしまおうと思う。

・・・あとで別記事にするか、ここで。

 

Polaris-満天

 

「ーー満天の星空を、ありがとう!!!!!!」

 

会場は白から真っ赤に変わって、吉岡茉祐が叫ぶ。

WUGのためだけに用意された満天の星空がここにある。

私は誇らしくて涙を流した。

私たち、最高の満天の星空にたどり着くことが出来たんだな。

最後のタチアガレ!

「泣いてるだけじゃWUGらしくない。最後は笑顔で終わるべきだと私は思う。そしてみんなももっとはしゃぎたいはずだ! まだまだ声が出せるはずだ! まだまだ声が出せるはずだ! そんなもんじゃねえだろ、SSA! もっともっと届けろーーー!!」

1st仙台。WUGはタチアガレ!を合唱して終わると思ってた。

 

ちょっと違う形にはなったけど、やっぱり最後の曲はタチアガレ!だった。

そうだったらいいなと思ったタチアガレ!は、楽しかった。

コールは全力で、後悔のないように声を出すことができた。

 

この曲が持っているものはすごく重たくて、いつも泣いていたけれど、

私がWUGの最後のタチアガレ!で流した涙は、悲しいから流れたものじゃない。

楽しいとか、嬉しいとか、またいつかどこかで会いたいとか、そういうのだったって、思いたい。言い切りたいと思うけどやっぱり心のどこかにそういうものはちょっとだけある。でも本当に楽しかった。今日を忘れないように私たちは未来に向かって歩いていく。希望が胸にあふれていた。

 

予定調和と、その意味

WUGの現場は、アンコールで叫ぶのは「アンコール」ではない。「Wake Up,Girls!」だ。

WUGのアンコールは予定調和だ、アンコールなんてする意味がないという人がいる。

セットリストに組み込まれてるんだからアンコールする意味ないし、俺はだったら休みたい。そういう人もいる。

実際そうだ、セットリストにアンコールが組み込まれている。確かに予定調和だ。

WUGはアンコールの間に休憩やメイク、着替えなどお色直しをしてくる。

私は、この信頼に満ちた予定調和が好きだ。

予定調和だろうがなんだろうが、結局誰一人叫ばなかったらアンコールは成立しないし、

WUGへの想いを全力で叫ぶワグナーがいるからWUGは安心してステージに戻ってきてくれるのだ。これが信頼じゃなかったらなんと言えばいいんだろう?

 

私たちは舞台装置に組み込まれる。それでも叫ばない自由はそこにある。

意味がないから叫ばない。

それでもいいけれど、愛に意味があるだろうか。愛に理由が必要だろうか。

自分が叫ぶ意味なんてどこにもないかもしれない。

 

それでもあの子たちを呼びたい。あの子達にもうちょっとだけ会いたい。

さっきまでステージで、今はステージの裏で頑張って準備しているあの子たち。

できることは叫ぶことしかないから。想いを伝えたいから叫ぶ。

 

疲れ果てて叫べないから手拍子だけする人。

喉が枯れないように、隣の人と、近くの人と交互に「Wake Up,Girls!」と叫ぶ人たち、

煽り合うように、愛情を競うようにどんどん声をでかくしていく人たち。

ライブ中は電源はオフというアナウンスにも関わらずスマホいじってアンコールしない人の分まで全力で「Wake Up,Girls!」と叫ぶ人。

色んな人がいるけど、アンコールを行う誰もが全力で、WUGのことしか考えてない。

 

その瞬間は最高に頭が悪くて、最高に気持ちよくて、愛しかない。だから私はワグナーが大好きなのだ。

いつもそうして全力で喉を潰してきたけど、今回ばかりは最後なのだ。

肺を潰して、それがだめなら心臓で叫びたかった。

 

最後の最後のここまで来て、Wake Up,Girls!という名前自体がたくさんの想いを込められたものであることに気がつく。

「タチアガレ!」であったり「前を向いて」で「進もう」くらいたくさんの意味があると思う。

 

だから最後は、アンコールではなく。

送り出すための「Wake Up,Girls!」を彼女たちに贈る。

 

公演が終わって、連番者たちと抱き合った。7連番、ここまで旅を続けてきたライブツアーの仲間たちだった。ここまで一緒に来れてよかった。

WUGに出会わせてくれてありがとう。WUGで出会ってくれてありがとう。

一緒に最後に「Wake Up,Girls!」って叫べてよかった。

一人じゃ折れてたかもしれない。一緒に送り出せてよかった。

 

言えなかった言葉

公演後、お見送り会があった。ぼちぼち列を歩いていくとついたてが見える。

そこを過ぎると突然WUGちゃんがお見送りを行っている目の前に飛び出す。

 

私は心の準備も出来てないまま、お見送りの列に放り出されてしまって、涙を流すよっぴーに「忘れないよ」と言ったあと、流れに一気にふっとばされてしまって他のメンバーに何も言えなかった、パニックになりながら唯一言えたのはまゆしぃに、「がんばって…」の一言だった。そんなんが言いたかった訳じゃない。

がんばってなんて、これまで頑張ってきて、やり遂げた人に一番言いたくない言葉だったから後悔しかないのだった。お渡しとか接近イベントはいつもこんなんで、言いたいことなんにも言えないなあ。だから言いたかったことをブログにこうして書きます。きっと届かないだろうけど、もし届いたらいいな。

 

青山吉能さん、今日もこれまでの毎日も楽しかった。忘れない。第二章も最高にします。

奥野香耶さん、また岩手行きます。またどこかで!

田中美海さん、応援してます。今日はありがとう

高木美佑さん、ありがとうって言わせてくれてありがとう!

永野愛理さん、最高の仲間をありがとう。日本一のWUGでした。

吉岡茉祐さん、私は出会えて幸せです。夢を掴んで!大好きです。

山下七海さん、ありがとう。また会おうね!

 

 

 

 

WUGは伝説を残せたか

 

私の中では最高のライブだったけど、他の人はどうだったんだろう。

 

会場の外に出て、スマホの電源を入れてTwitterを見ると、WUG_SSAがトレンド1位になっていた。

「WUGのライブがすごかった」「楽しかった」「エモかった」「なんで解散しちゃうの?」ってツイートがたくさんだった。

 

トリプルアンコールまで行ったとか、そういうわかりやすいものではなくて、わかりづらいところで刻まれるものが確かにあるはず。

WUGのライブは凄かった・・・って笑顔でツイートできるくらいに、たくさんの参加者に「楽しい」を残すことができていたはずだ。

これがラストライブではあったものの、初めて参加する者の感情を巻き込んでいった。ゲストではなく、当事者としてWUGへの「好き」を叫ぶことができた人もいるはずだ。

今からWUGを知っていこうと思ってくれた人もたくさんあの場にはいたはずだ。

WUGは解散したけれど、これからWUGを知っていく人が「すごかった…らしい!」「すごい」と思ったなら、それが伝説になるということなんじゃないだろうか。

だからWUGFINALのBDが出た時が勝負なんじゃないか、と思っている。

 

 

翌日のブログ更新で、WUGの公式ブログがAKBさんのところ3系列、3つあったのを抜かして1位になった。

 

これまでなんだかんだ言われ続けてきたWUG。

それが最後の最後に1万人のお客さんを増やした。

その結果トレンド1位、アメブロランキング1位を取った。

最後まで戦って最後に大戦果を上げた。

これが伝説じゃなかったらなんだっていうんだ。

 

 

 

ワグナーの、さようならのパレード

身内と飲み会をオールナイトで行った。

同じお店で別のワグナーたちも飲み会を行っていた。

朝5時ごろに閉店になる。

 

少しずつ帰っていくワグナーに、なんと言っていいのかわからなかった。

何も言わずに涙を流すワグナーもいた。

 

私たちはこれからどこに行くんだろう。

これまで同じ目的地を目指していろんなルートから進んできた。

5年間。解散発表からなら33公演、12会場を9ヶ月ほどで移動してきた。

「また来週。」「次は大阪で」「次は盛岡で」「次は熊本で」

そんなこと言って別れていた、私たち。

 

いま、この同じ駅からまた別のルートに向かって違う列車に乗り込んでいく。

目的地が同じになることは当分ないだろう。

また会おうね、と言いたいけど会えないかもしれない。

さよならもなんか寂しすぎる。

だから、またどこかで。そう言って送り出した。

 

長い長い私たちの旅が終わったのはこの瞬間だったかもしれない。

ここから旅の第二章が始まる。

 

 

 

 

とりあえず、私は今はまだワグナーだし、この後もワグナーだと思う。

どこかで道が交わる事もあるだろう。

その時は笑顔で会いたい。

 

 

 

 

 

「茶碗蒸し」

 

どうでもいい話を最後に。

私は家族と仲が良くない。いわゆる機能不全家庭に育った。

その家族からビジネスライクな付き合いを今はしていて、いろいろな支援を受けWUGのツアーを回ってきた。

 

FINALツアー最後のあたり、1月2月はぜんそくに苦しんでいた。

それでもなんとか3月8日のライブを終えて帰宅したが、ぜんそくの調子はやはり良くなかった。

 

すべてライブ終わりました、ありがとうと家族に礼の連絡を入れると、まず体調の心配をされた。

とりあえず食って寝ろと、その晩のうちに安くはないイトーヨーカドーのネットスーパーで食料が送られてきた。

その中には初めて見るカップ茶碗蒸しがあって、そういえば家族は昔に料理をしていたころ、茶碗蒸しを時々作っていた。

好き嫌いが多い私は食べなかったから、それがどんな味だったかも知らなかった事を思い出した。

カップ茶碗蒸しをレンジに放り込んで考える。

 

私がWUGに出会うためには家族に一応育てられるのは必須の条件だったのか。

そして、あの時仙台で金貸してくれなかったら3月8日にSSAにいなかったどころかこの世にもいないはずだ。

 

そう思うと、これまで関わったすべてに感謝を伝えたくなった。

この世のすべてのものにありがとう。

 

親に育ててくれてありがとうとか生んでくれてありがとうと思ったのは今が最初かもしれない。

そんな気持ちで食べたカップ茶碗蒸しは思ってたより美味しかった。

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