「意味も知らずにヘヴィメタルを叫ぶな!」感想

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「ヘヴィメタル」という言葉はとても難しい言葉だと思います。

 

音楽の一ジャンルを示す言葉だと理解する人もいれば、

メタルというジャンルの中でも「ブラックサバス」や「アイアンメイデン」、

「ジューダス・プリースト」などのいわゆる正統派メタルを指していると理解する人もいます。

 

そんな難しい言葉、「ヘヴィメタル」を叫ぶな! というのは確かになあと思い、

タイトルに惹かれて中身も見ずに購入。家で「歌詞」から楽しむと書かれており、「あっ」と思いつつも読了。

 

メタルを聴いて、気が付けば15年。

読んだ感想を書かせていただきます。

 

 

 

本書の概要

 

2018年12月15日、リットーミュージック様より出版されました。

メタル系の雑誌などを読む人ならば知っている人も多い「川嶋未来」氏の著書です。

 

 

 

 

メタルの歌詞に注目し、メタルの歌詞の世界観、メタルの歌詞による社会問題、

メタルの歌詞の変遷などがメタルの歴史とともに説明されています。

 

このように書くと、とても仰々しい本に思えるかもしれませんが、決してそんなことはありません。

むしろ、W.A.S.Pやポイズンなどのヘアメタルバンドの下品すぎる内容は電車の中では読むのはためらうほどでした……。

 

扱われる楽曲は22曲。

一曲につき、だいたい3ページぐらいの著者による解説が書かれ、

英語の歌詞全文、バンドの紹介1ページという構成になっています。

 

そのため、知っている曲やバンドが少ない場合、物足りなさを感じるかもしれません。

ちなみに登場するバンドは

 

・ブラックサバス

・ヴェノム

・スレイヤー

・アイアンメイデン

・デス

・ディープパープル

・ジューダス・プリースト

・ポイズン

・ウォレント

・W.A.P.S

・メタリカ

・テスタメント

・オジー・オズボーン

・メガデス

・アンスラックス

・ミニストリー

・カーカス

・カンニバルコープス

・スイサイダルテンデンシーズ

・パンテラ

 

これ以外にもコラムなどで取り上げられているバンドは複数ありますが、

しっかりと楽曲解説がされているのは上記のバンドです。

 

また、THE冠の冠徹弥さんとのインタヴューなどもあります。

 

登場バンドから見る読者ターゲット

 

本書で取り上げられているバンドを見ると、

どうしても昔のバンドばかり扱っているように感じてしまいます。

 

リアルタイムで聴いていた人ならばとても楽しめる内容かもしれませんが、

「ジューダス・プリーストってペインキラーの人でしょ?」

「ブラックサバス、名前は知っているけど、曲は知らないなあ」

といった若いメタラーはとても楽しめません。

 

ブラックサバスの「黒い安息日」は1970年、

ディープパープルの「ハイウェイスター」は1972年、

パンテラやカーカスが最近のバンドに思えてしまうラインナップ。

 

ほとんどが70年代から80年代となっており、

「最近、メタル聴き始めたんだよね」といった人は手に取ることをおすすめしません。

上記バンドを昔、聴いていた人たちが改めて「こんな歌詞だったのか」と楽しむ本です。

 

しかし、「メタル」に注目しなければ、アメリカにおけるPMRCという団体との音楽の戦いであったり、

悪魔崇拝を思わせる楽曲に対するキリスト教徒とのいざこざであったり、メタリカのマスパペがメタルシーンに与えた影響など歴史書として楽しめるかもしれません。

 

意味も知らずに叫んでオッケー

 

タイトルに対する結論は、著者と冠徹弥さんとのインタヴューで書かれています。

 

「意味も知らずに叫んでオッケー」です。

 

更にいえばTHE冠の「奪冠」というアルバムの2曲目や5曲目を聴けばインタビュー記事を読む必要すらないです。

(この本を読んでから改めて歌詞に気をつけてTHE冠の曲を聴いてみましたが、確かに元気を与えてくれるワードがありました。)

 

個人的に、ではありますが、

むしろ歌詞の意味を知ると口に出しにくくなる、なんてこともありそうです。

 

本書を読めば分かりますが、非常に下品だったり、中2病的だったり……

知らない方が幸せかもしれませんね。

 

次回作への期待

 

今回扱われたバンドをサブジャンルでくくると、「ヘヴィメタル」「ヘアメタル」「スラッシュメタル」がほとんどでした。

 

もし次回作があるなら、比較的最近のメタルバンドや、メロスピ、シンフォニック、ヴァイキング、ゴシック、ニューメタルなどのサブジャンルのバンドの楽曲の歌詞について解説して欲しいです。

 

例えば、ラプソディー・オブ・ファイアのエメラルドソードなど、

きっとファンタジーについて歌っていると想像はできても実際に何を歌っているのか気になります。

 

また、ヘンテコな邦題で有名になったヴァイキングメタルバンド、

コルピクラーニの歌詞を解説して、やっぱりしょうも無いなと突っ込んでみたい。

 

ゴシックメタルのような世界観が分かればもっと深く楽曲を味わえそうなものも扱って欲しい。

 

そういった感想を持ってしまうほど、惜しい本だと思います。

 

 

おわりに

 

洋楽を聴いているというと、そうで無い人から

「歌詞分かるの?」といったことを言われることがあります。

 

しかし、音楽の楽しみ方は人それぞれです。

音楽のジャンルの好みも人それぞれです。

 

しっとりと歌手の歌声と歌詞を楽しみたい人もいれば、

頭を振りながらメロイックサインを作って重低音サウンドに身を委ねたい人もいます。

 

メタルについては歌詞よりも「速いか」「重いか」「メロディアスか」が重視されることが多いように思います。

 

私個人としては、「重い」「速い」を重視する、

スラッシュメタル、メロデス、ジャーマンメタルなど好みです。

「重い」を重視するドゥームメタルや、「速い」を重視するメロスピは正直苦手です。

 

そんなメタルというジャンルだけれど、歌詞に注目すると意外と面白いよ! という視点を与えてくれる本でした。

 

 

 

 

 

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