サマリー(概要)
プレイヤースキルを求められるが大会上位での成績が良い黒馬バドレックス、
弱点の鋼デッキが環境に少ない上、そこまで苦手にならない白馬バドレックス、
天敵が環境に少ないが相性差が激しいムゲンダイナ。
現在の環境はこの3つのデッキタイプが使用率において過半数を占めています。
直近1週間のデータでは黒馬白馬の使用率は17.3%→19.2%、15.3%→19.2%にそれぞれ大きく増加、ムゲンダイナの使用率は19.1%から11.5%と大きく減少しましたがそれでも使用率の50%はこの3つであるため注視すべきです。
今後追加される新カードにより悪タイプのデッキが環境に増加する可能性は高く、それを見込んでの闘タイプの増加も起きるでしょう。
対象データ
対象範囲:シティリーグ・アディショナルシーズン2021で上位入賞したデッキ
データ収集方法:Twitterより手作業で収集
対象期間:2021/04/23~2021/05/21(白銀/漆黒発売開始よりイーブイヒーローズ発売開始1週間前の期間)
対象データ数:249
データは以下のリンクより誰でも無料でブラウザから確認できます。
PC版_ポケモンカードシティリーグ分析レポート_アディショナルシーズン2021
スマホ版_ポケモンカードシティリーグ分析レポート_アディショナルシーズン2021
ポケカ飯 (@pokekameshi)さんによるデータ集計、
ぐうぐるい(@ggrui_Pokeka) さんによるデータレポート を使用させていただいています。
デッキ使用率
全体のデッキ使用率の上位を占めるデッキは以下となっています。
19.3%/ムゲンダイナ (1位)
17.3%/黒馬バドレックス (2位)
15.3%/白馬バドレックス (3位)
8.8%/三神ザシアン (4位)
4.8%/連撃ウーラオス (5位)
3.6%/ドラパルト (6位)
3.6%/インテレオン (7位)
3.2%/悪MM (8位)
2.4%/れんげきカラマネロ (9位)
優勝者のデッキ使用率は以下。()内は全体使用率との比較です
23.4%/黒馬バドレックス (2位→1位)
19.1%/ムゲンダイナ (1位→2位)
12.8%/白馬バドレックス (3位)
8.5%/ジュナイパー (圏外→4位)
6.4%/連撃ウーラオス (5位)
6.4%/三神ザシアン (4位→6位)
4.3%/ドラパルト (7位)
2.1%/三神三鳥 (圏外→8位)
2.1%/モクナシゴリランダー (圏外→8位)
全体のデッキ使用率をタイプごとに分けたものはこちら。
24.9%/超
24.5%/悪
20.5%/水
10%/ドラゴン
5.6%/草
5.6%/闘
2.8%/炎
超、悪、水の上位3タイプで68.9%を占めている状況です。
それに上位3タイプのうち悪と水タイプの弱点となるドラゴン(=三神ザシアン≒鋼)、闘タイプが続いています。草タイプは白銀/漆黒環境においてはほとんどがジュナイパーです。
雷は行方がわかりません。はくばバドレックスの弱点が鋼であることが大きいでしょう。
デッキ使用率から読み取れること
白銀/漆黒環境の新カードである黒馬バドレックス(超)、白馬バドレックス(水)の人気がとても高く、どちらかというと黒馬バドレックスを選択するプレイヤーが多かったという結果になっています。
黒馬バドレックスはエネルギー加速と場のエネルギーの数で威力が上がるわざを持ち、序盤を凌ぐことに成功すれば優位になるデッキのため序盤をなんとかする妨害カードが多く採用されていると見られます。その場合プレイ難易度が高いデッキになりがちですが、シティリーグの優勝者にデータを絞り込むと1位はムゲンダイナではなく黒馬バドレックスになるというデータがあります。プレイヤースキルに依存しやすいものの好成績を残していると言えます。
白馬バドレックスは「頂への雪道」が採用しやすいです。三神ザシアンにとって重要な「ふとうのつるぎ」を止めることができ、それが有利に働くことが多そうです。白馬バドレックスは長期間一定数が環境に存在する三神ザシアンに対して良い成績を出せている可能性があります。
黒馬バドレックスの登場により超タイプの使用率が上がることを見越して悪タイプのデッキ、つまりムゲンダイナや悪MMの使用を選択するプレイヤーが相当数いたということを意味する結果が出ています。全体データで黒馬バドレックスの使用率よりもムゲンダイナの使用率が上回っているというのは興味深いデータと言えるでしょう。
ムゲンダイナの弱点を突ける闘タイプのデッキ…唯一上位に食い込んでいる連撃ウーラオスの使用率が少なかったこともムゲンダイナの使用率を上げています。
ムゲンダイナデッキに採用されているムゲンダイナVMAXに対してれんげきウーラオスVMAXはエネルギー一個で300ダメージを簡単に与えることができます。他のカードと合わせれば一撃で倒してしまうこともあるでしょう。明らかに脅威と言える相手です。
ガラルサンダーVという様々なデッキに採用しやすい闘タイプのカードがあるもののそれだけではムゲンダイナを対策しきれない部分があるかもしれません。今後イーブイヒーローズで登場するブラッキーVMAX(悪)がムゲンダイナを増やす可能性があります。ブラッキーVMAX自体は弱点が草タイプとなっています。同日発売のハイクラスデッキに収録されるいちげきゲンガーVMAXの弱点は闘タイプなのでどちらにせよ悪タイプ全体としての使用率が上がる要素となります。どうなるかは注視すべきです。
また、白馬バドレックスの弱点である鋼タイプのザシアンVが軸となる三神ザシアンの使用率、ムゲンダイナと連撃ウーラオスの使用率を比較したものを並べると、
白馬バドレックス/三神ザシアン:15.3%/8.8% おおざっぱに2:1。
ムゲンダイナ/連撃ウーラオス:19:3%/4.8% おおざっぱに4:1
プレイヤースキルを求められるが大会上位での成績が良い黒馬バドレックス、
弱点の鋼デッキが環境に少ない上、そこまで苦手にならない白馬バドレックス、
天敵が環境に少ないが相性差が激しいムゲンダイナ。
現在の環境はこの3つが過半数を占めている状況と言えるでしょう。しかしこのパワーバランスは長くは続かないものと思われます。
直近のデータが早くも力関係に変動が起きた事を示唆しています。
2021/5/21直近1週間の環境について
全体の使用率順位→直近の使用率順位
19.2%/白馬バドレックス(3位→1位)
19.2%/黒馬バドレックス(2位→1位)
11.5%/ムゲンダイナ(1位→2位)
9.6%/三神ザシアン(4位)
5.8%/連撃カラマネロ(9位→5位)
3.8%/ビクティニ(圏外→6位)
3.8%/連撃ウーラオス(5位→6位)
3.8%/ジュナイパー(圏外→6位)
3.8%/インテレオン(7位→6位)
直近の1週間のデータでは、白馬(15.3%→19.2%)、黒馬(17.3%→19.2%)バドレックスの使用率が上がり、ムゲンダイナの使用率が大きく下がっています(19.1%→11.5%)。
全体→直近
40%/黒馬バドレックス(1位→1位)
10%/白馬バドレックス(3位→2位)
10%/ジュナイパー(4位→6位)
10%/ドラパルト(7位→6位)
10%/ビクティニ(圏外→6位)
10%/インテレオン(7位→6位)
10%/連撃カラマネロ(圏外→6位)
驚くべきことに、ムゲンダイナが1位に一つも残っていません。
白馬、黒馬バドレックスの開発が進み、アーキタイプとしての完成度が上がった、ムゲンダイナに対する対策カードが見つかったなど、これらのメジャーなデッキ間のマッチアップに何かが起きた可能性があります。
連撃カラマネロ、ジュナイパーが上位に残っていることにも注目すべきでしょう。
デッキタイプ別シェア推移
ムゲンダイナ、黒馬バドレックス、白馬バドレックスが高い頻度で残っていますがムゲンダイナが後期に近づくと割合を減らしています。
三神ザシアンは大きい戦果を挙げてこそいませんが安定感があります。
環境初期に悪MMが見られましたが環境後期になるにつれて姿を消していきました。
連撃カラマネロが少しずつ環境に見られるようになってきています。ベンチ攻撃中心のデッキが相手の場合苦しくなるものの一撃のダメージの大きさが注目されています。
地域別傾向
対象期間、緊急事態宣言の関係でデータ量が全体的に少なめです。
データ量が多い東京、神奈川、埼玉
東京の黒馬バドレックス人気は24.4%と圧倒的です。それに伴いムゲンダイナが22%と多くなっているものと思われます。白馬9.8%、三神ザシアン4.9%。
データ量が最も多い神奈川では白馬黒馬がどちらも17.6%,ムゲンダイナと三神ザシアンがどちらも13.7%という数値です。
埼玉では24%と白馬バドレックスが人気です。その分三神ザシアンが8%。
茨城、宮崎、徳島の環境は極めて特殊です。
茨城はムゲンダイナ、白馬バドレックス、黒馬バドレックスが不在、
宮崎はモクナシゴリランダーとピカゼクが3,4位に入賞。
徳島はバドレックスが不在で草タイプのデッキが50%となっています。
注目デッキの勝率
本記事の以下の内容から取得対象データが変わります。
Twitter対戦集計(GoogleDataStadio)無料で誰でもブラウザから利用可能です。
こちらはお二方によるものとなっています。
@おすぎ(@osgggg) さんによるTwitterでの自動集計
@ぐうぐるい(@ggrui_Pokeka)さんによるデータレポート
データ取得の対象範囲
・ジムバトル
・トレーナーズリーグ
・シティリーグ
・「杯」がつく大会
対象期間:
2021/4/23 ~ 2021/5/21
デッキ別全体勝率
赤文字のものはデータ数が10未満と少なく、注意する必要があるものです。
黒馬バドレックス、ムゲンダイナの勝率が50を超えていますが、はくばバドレックス、三神ザシアン、連撃ウーラオスの勝率が少し低めです。
ムゲンダイナ
はくばバドレックス、こくばバドレックス戦の勝率が高めに出ています。データ範囲を5月1日以降に絞っていくとこくばバドレックスに対しての勝率が52.38%から43.75%まで減少します。これは対策、こくばバドレックスの研究が進むなどの理由で得意な相手から苦手な相手に変わったことを示しています。
はくばバドレックス戦のデータに対して同様の操作を行いましたが勝率54.17%から52.94%と減少は僅かな範囲にとどまりました。
いちげきウーラオス、れんげきウーラオス戦の勝率が低いのはやはり闘タイプを相手にしたときカバーしきれないところが多いのでしょう。
MMやV中心の体力が少なめのデッキに対し好成績を残しているようです。
得意:白馬バドレックス
苦手:黒馬バドレックス、れんげきウーラオス
黒馬バドレックス
初期を除いたムゲンダイナとのマッチアップではかなり有利です。白馬バドレックスとのマッチアップでは微不利〜ほぼ互角で戦えています。三神ザシアンに大幅に勝ち越しています。悪MM、ドラパルト、それと特にれんげきウーラオスが苦手かもしれません。
得意:三神ザシアン、
苦手:れんげきウーラオス
白馬バドレックス
負け越しているマッチがとても少ないということに目を向けてください。メジャーマッチでも勝率は安定しています。ムゲンダイナ、れんげきウーラオスが苦手ですが、メジャーではないデッキを相手にしているマッチ全体での勝率が非常に高くなっており、安定性の高さを感じさせます。
はくばバドレックスの全体的な勝率の数値を落としている要因はれんげきウーラオスにカモられていることです。
得意:こくばバドレックス、三神ザシアン
苦手:ムゲンダイナ、れんげきウーラオス、れんげきカラマネロ
三神ザシアン
こくばバドレックス、ジュナイパーが苦手な相手です。メジャーデッキを相手にすると高い勝率ではありませんが、安定した戦績を残しています。
得意:れんげきウーラオス
苦手:こくばバドレックス
連撃ウーラオス
はくばバドレックス、ムゲンダイナに圧倒的に高い勝率を残しています。
こくばバドレックスにも有利に戦えています。
得意:はくばバドレックス、こくばバドレックス、ムゲンダイナ
苦手:三神ザシアン
連撃カラマネロ
データ数が少ないため怪しいところはありますが、相性差が激しく出るようです。はくばバドレックスに勝率80%を叩き出していますが、ムゲンダイナを相手にしての戦績は無残です。
また、メジャーではないデッキ相手の勝率も低いと言えます。開発が進めば戦績が大きく変わるかもしれません。
得意:はくばバドレックス
苦手:ムゲンダイナ
当レポートの作成に協力していただいた方々にこの場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございます。
データ提供者
おすぎ ポケカ環境自動分析ツールつくるひとさん Twitter
おすぎさんのnote記事も是非見ていただきたいです。
ぐうぐるいさんとポケカ データ ラボ(PDL)というチームを立ち上げ対戦環境を技術やデータで「よりう深く解明する」「わかりやすく、伝える」という理念のもと活動されるとのこと。
データレポート作成者
ぐうぐるい@シティリーグ分析レポート さん Twitter
今回お声掛けいただいたことがきっかけで、このレポートを書くことにつながりました。
ぐうぐるいさんのnote記事が切り口の面、データ量が多いレポートになっておりとても参考になると思います。
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