ネタバレなし評価/今、十三機兵防衛圏を遊ぶ意味

十三機兵防衛圏でイオリが急いでいるシーンですPS4

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今、十三機兵防衛圏を遊ぶ意味

 

誰しも好きな漫画、アニメ、ドラマ、小説はあるだろうけど、
その内容について考えたり、続きを待ち望んで過ごす日常も同様にあっただろう。
結末にたどり着くまでの時間を日常が占める割合は自然と大きくなるのでありまして。

身内のスタッフロールまでのプレイ時間は平均45時間。そして私のは35時間。

この数字は大したことないかも。だから大したことある数字を書いてしまおう。
所要時間、オンオフ含めて夏休み一つ分。約1ヶ月で720時間。私にそれくらいの感情を十三機兵防衛圏は残していった。

 

ゲームの中でも絶対忘れられない体験というのはできる。
それは人生を時々豊かにしてくれたり、何かのスイッチがバチーンと入ると思い出すことが何歳になってもできてしまう。

小学生の時に遊ぶポケットモンスターのお母さんのセリフ「男の子はいつかは旅に出るものなのね」に感じた感傷であったり、ファイナルファンタジーで飛空艇を手に入れた瞬間に初めて見えた世界の広さとか、おのおの大切な瞬間があるはず。

 

 

十三機兵防衛圏はその一つになれるかもしれない。
それだけの狂気めいた熱量を持つ作品。

ただ核心のネタバレをされるとその魅力は半減してしまう作品でもあるなと。だから今のうちに遊んでしまうべきなのですよ……。

 

 

ここから書くのは冒頭15分くらいの話。体験版で遊べるチュートリアルの範囲とはいえ、ネタバレではあるかもしれない。嫌だったら読み飛ばすなり体験版遊ぶなり、とっとと遊んじゃって欲しい。

アドベンチャーパート:追想編

アドベンチャーパートはテンポよく13人の主人公の物語を切り替えながら進めて行くことになるんだけど、最初に選ぶことになる「鞍部十郎」のシナリオは古臭い学校の教室から始まる。

「鞍部十郎」編だから「鞍部十郎」を操作して教室にあるものを調べたりクラスメイトに話しかけたりして進めるわけなのだけど、「鞍部十郎」が誰かと話してるあいだに画面の奥…教室の奥のほうで女子生徒が女子生徒と話してる。もちろん全然違う話題、それがリアルタイムで会話が進んでる。

 

集団における別グループの会話って違う話題が進むじゃないですか。そういう手法でキャラクターの生々しさとか生活感みたいなのが見えてくる。女子生徒の会話に聞き耳立ててると「何か用?」って言われたりする。ここまでアドベンチャーゲームらしい選択肢はなし!特定の誰かに入手したワードを使用する、とかはあるけども。

実際にプレイするとこの時点で空気感とか、「学校っぽさ」の表現がもはや気持ち悪いレベルの高さであることに気付くと思う。窓から差し込む夕日…できらきら光るホコリ。演出すげえ、となる。

 

ストーリーは13人の主人公が視点、持っている情報が違うし違う事をやっている。それぞれ違う形で話が複雑に絡み合っている。

Aという主人公の物語で出てきたBという人物。実はその前にこの人と会っていて…みたいなものもあれば、もっと壮絶なものもある。

プレイヤーによって進める主人公の順番が違う。そういう情報のアンロックのされかたをするのでプレイヤーによってはああいうことだったのか!とミスリードさせられる事もある。

「マジか」「ウワーッ」「グエーッ」など語彙を失いつつ受けた衝撃が口から飛び出すような展開が待ち受けている。

 

開発者の手のひらで踊らされてる感覚になるが不快さはない。その見せ方や話の作りが非常に丁寧なのである。

話が訳わからなくなったらアーカイブを参照することで情報を整理できる。進行状況で情報はアップデートされていく。親切設計なのだった。

 

 

プレイヤーによってある程度エピソードを見ていく順番は変わってしまうのがこのゲーム。見ていく順番が違えばプレイヤーそれぞれが持つ疑問も別のものになる。
「アレってそういうこと?」という疑問を突き詰めて真実にたどり着くことがこのパートの「攻略」であり、そこに攻略法や明確なクリアも得点も存在しません。そしてこの世界に秘められた謎を解き明かした時の喜びや驚きはあなただけのものになっていく。

 

バトルパート:崩壊編

バトルパートはほとんどバトルが中心でストーリーの描写はあっさりめ。アドベンチャーパートを進めるのにはこちらのプレイも必須。
難易度はいつでも上げ下げできるがノーペナルティなのでゲーム初心者も安心。
押し寄せる怪獣から街を守るためにロボット13機で戦う事になる。

 

怪獣をレールガンやミサイルの雨で一網打尽にするもよし。怪獣と殴りあいをするなら一気に懐に潜り込む・相手の攻撃を避けながらパンチと、とんでもない機動で戦場を飛び回る事が求められる。どちらにしても数的不利があるので英雄的な立ち回りをすることになるだろう。

コンソールっぽい画面には自機であるロボット…機兵がほとんど映されていない。一見地味とも取れるインターフェースだが、戦いを繰り返すうち、上達していく操作やSEの芸の細かさも含め、没入感を高めることにつながっている。

一言でいうとめちゃくちゃ気持ちいいです。現場からは以上です。

あとロボが地味と思うかもしれないがそのうち慣れる。これはマジ。

 

DLCとお金の話:ファンは試されている

 

このゲームにおいてDLCは今の所存在しない。このゲームはパッケージで完結しているんです。

ソシャゲとか青天井のDLCを売って利益を追求するビジネスモデルになっているコンシューマーのタイトル、間を取ってシーズンパスを導入しているタイトルが多い。開発費高いんだからしょうがないことだとは思う。少しでもペイしたいだろうし、何より有料アップデートやDLCは商品寿命を延ばすことに繋がるだろう。

 

(全然関係ないがガンダムEXVSシリーズはゲーセンで372億、家庭版で売上は40億くらいだそう。青天井に集金できるほうが絶対に儲かるに決まっている。)
引用元:EXVSシリーズの家庭版が出ない理由を真面目に考える
https://note.com/exvsdb/n/nd09412c7cccf

 

でもこのゲームはそんなご時世にDLCレスのパッケージで世に出された。開発期間もめちゃくちゃ長くなっていた。その甲斐あってかクオリティは一貫して高く芸術的ですらある。

 

クリエイターとしての意地というか、やりたいものをやる、作りたいものを作るっていう信念が感じられる。(あと、商売っ気のなさも)

 

DLCレスで完全売り切りにしちゃうとお布施が簡単ではない。そういう意味でDLCを導入しているところもあると思う。完全売り切りであれば本数が出なければ売上が伸びないということでもある。

 

これは十三機兵防衛圏のクオリティへの自信や、コンシューマーゲームへの愛とか、そして現在のゲーム業界のビジネスモデルへの挑戦状のようにも感じた。

 

助けになるのはファンや確かな目を持ったゲーマーの声であるとか、地道な「布教活動」だけになるんじゃなかろうか。
正直、初動の売上の本数はあまり良いように見えなかった。

 

良いものを作った彼らをほっとくわけにはいかない。スマブラのディレクターの桜井政博氏含む業界人や著名人が絶賛するのもわかる気がする。

 

 

私はそんな想いでこの記事を書いているので冒頭が遊べる体験版だけでもやってみていただきたい。製品版にセーブデータは引き継げます。

 

私の一押しキャラは比治山さんと堂路桐子さんです。ゆえに画像が多い。プレイ開始からリアルで焼きそばパンを食べる回数が増えました。

中古の価格も高いですしここは一つ新品の購入をおすすめしますぜ…

…と言いたいのですがアマゾンの新品在庫が切れてる場合はPSStoreでダウンロード版の購入をおすすめします。

すぐ遊べます。

PSStore利用の場合はクレジットカードでチャージするなりコンビニに走るなりしてください。

 

クレジットカード持ってない人向けの記事。

 

Vitaでリモートプレイするのも良き。