劇場版Wake Up,Girls! 7人のアイドルの考察記事です。
最初の流れる声は島田真夢。
最初に画面に顔が描かれる人物は、大田。
(この記事は 2015年12月19日に書かれたものを修正加筆したものです)
アニメWUGの主人公は誰だったのだろう
最初にしゃべる人として描かれるのはI-1の円陣。
それから場面はグリーンリーブスの社長、松田の会話に変わるわけですが…
このアニメの主人公って誰なんでしょうか。
私はこの物語の主人公は「WUGとI-1、その周囲の大人とファン」だと思ってます。
WUGとI-1は言わずもがな。
それ以外の人々がいない世界があったとしたら、多分WUGの活動って始まらないんです。
社長はこの劇場版で金を持ち逃げしますが、思い付きでアイドルを作るよう松田に命令するし、
松田がいなかったら真夢は歌や踊りが好きだった自分から逃げたまま。
アイドル辞めたまんまなんですよね。
大田さんがいなかったら、アンコールは起きなかった。
そういった人々が一人抜けてもその後に続かなくなってしまう。
WUGの物語ってそんなんばっかで、それぞれが些細かもしれないけど影響しあってる。
その影響は人を育てもするし試練を与える事もありますが…それでも、
苦境から立ち上がる人々、それでも前に進む人々をアイドルを通して描こうとした作品。
それがアニメ Wake Up,Girls!なんだと私は思います。
元バンドマン松田が元アイドルに出会う
サボってばかりの松田。
社長に言われるがまま仕事だからと、アイドル候補を探し始めます。
しかしどうにも主体性が感じられない。
なんとか岡本未夕をWUGに引き入れましたが、
未夕はフリーペーパーとか見て勝手にWUGに加入しに来てくれそうな気もします。
彼という人物がそこにいてもいなくても岡本未夕はWUGに加入していると思う。
なぜ松田は、主体性もやる気もないのでしょうか。
それは、彼は夢破れてグリーンリーブスに流れてきた人物であり、ある意味人生における希望も情熱も失っていたからでしょう。
松田は元バンドマン、東京で活動を続ける友人もいるけれど彼自体はバンドも音楽もやめてしまっています。
その後、夢中になれるものもなかったのかもしれない。
彼が望洋台公園で大空のプリズムを歌う島田真夢に出会い、そこからサボり描写がなくなります。
ここで火がついた、という扱いをしていいでしょう。
島田真夢をWUGに加入させるために説得を自分に任せろとまで言います。
そこには信念が感じられます。
いったい何が起きた。
松田に何があったのでしょうか
松田は島田真夢にアイドルを見たのだと思います。
歌もダンスも捨てきれなかった島田真夢は人気のない公園で一人、ブランコに乗って歌を歌います。
誰にも聞かれないように。
島田真夢が仙台にいる理由。それは過去にとある事件で悲しみを背負ったからなのですが、
夢破れてそこにいて、やる気や情熱を失った松田。彼にとっては顔も名前も知らない少女にすぎません。(たぶんやる気あったらI-1の元センターなんて知ってるはず)
しかし両者は似たような境遇とも言えます。
同じように島田真夢も夢を追いかけることを諦めてしまって、それでも好きなものに対して自分をごまかし続けている。けれども、そうやって自分に嘘をつき続けることもできずに歌った。
その歌が松田の心を動かしたのかもしれません。
松田は「好きなことを好きでいる自分」をすでに諦めてしまっている人間と言えます。
彼自身が彼の夢をまた追いかけたい、と彼は思わなかった。
ただ、頑張らなくちゃと思った。元気になる何かを感じた。
松田からすると諦めきれない島田真夢を応援したい、という想いだったのかもしれません。
まだ諦めてない島田真夢と、諦めてしまった松田。
応援される存在と応援する存在との関係って、なんだかアイドルとファンの関係に似ています。
島田真夢にアイドルというものを感じた瞬間。
それが望洋台公園の出会いだったのかもしれません。
松田は島田真夢に諦めきれなかった夢と向き合うよう、I-1時代のDVDを渡すという大役を果たします。
これは松田からバトンが繋がった、と考えることも出来ますが、
島田真夢>松田>島田真夢…
という形でバトンが渡されていったら、なんだか素敵だなと思うんです。
アイドルからファンへ。
ファンからアイドルへ。
また、アイドルからファンへ。
その想いのループがすごくアイドルだと私は考えていて、その中で生まれる幸福の再生産が大好きなんですよね。
そんなエゴを松田に押し付けて終わります。
劇場版Wake Up,Girls!本編映像より画像を引用させていただきました。
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